拝啓、白石由竹さま
梅雨寒の折、白石さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょう。先日はお手紙のお返事をありがとうございました。わたくしの話が白石さまを楽しませることができるかは分かりませんが、精一杯綴らせていただきます。
まずは先日のお手紙のお返事ですが、趣味は風景画です。まだまだ下手の横好きではございますが、寝室の窓辺から見る夕焼けの微妙な橙黄色をキャンバスに写し出せた時の達成感は言い様もありません。拙作ではございますが、以前描いたお花の絵を同封いたします。白石さまがお花を好きだと良いのですけれど。
キャンバスに向かっている時だけは日常のあれこれを忘れることができます。白石さまにはそういうご趣味ってあるかしら。監獄の生活というものがどのようなものなのか想像にも及びませんけれど、どうか白石さまにとって心地良く、そして何より貴方さまの更生が促されるような場である事を願います。
監獄には労役があるとお伺いいたしましたが、白石さまは労役が無い時間帯は何をしていらっしゃるのかしら。上述の趣味にも繋がるお話ですけれど、白石さまについてもっと沢山の事を知りとうございます。あまりに聞きたがりで不躾な真似をしてしまって申し訳ありません。これ以上の恥を晒す前に名残惜しくはございますが、筆を置かせていただきます。
季節の変わり目でございます。何卒お身体おいといください。
かしこ
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