親愛なるナマエ、
俺は今どこにいると思う?
何とアメリカにいるんだ!俺もいまだにどこにあるかはよくわかんねーんだけどな。
アメリカは北海道よりもずっとでっかくて、ずっと厳しい。特にえんたーていめんと界隈はヤバい。
なんでかよく分からない内に俺は門倉たちと映画を撮って、それで大コケした。ほんっとーに大コケだ。逆に清々するくらいウケなかった。
制作費も全然回収できてねえし、皆でこれからどうすんだって頭抱えてる。
でも、今すごく楽しい。
アメリカの文字も習ったからナマエに手紙も書けるようになった。
世界を見たから前よりずっとアイヌの事を好きになった。
俺は俺の道を自分で決めたよ。ナマエがそうしたように。
俺はナマエの兄貴だからちゃんとナマエを導かなきゃって思ってたけど、そんな事なかったんだよな。
お前も俺も、別の人間だから、別々の速度で前に進んでいくんだもんな。
俺は今、門倉とキラウシとマンスールとバカやりながら過ごしてる。楽しいんだ、毎日すごく。
ナマエも毎日、笑っててくれたら嬉しい。それで、時々遠くから俺を想ってくれ。俺が遠くからナマエの幸せを祈るように。
俺はそれだけで良いんだ。最初からずっと、そうだったんだ。
遠回りしたけど、気付いたよ。いつもお前の事を想ってる。
お前の兄のエコリアチより
***
「だから俺は言ったんだよ。アメリカなんて無理だって。大コケだぞ、どうすんだ」
「オメェ、今更それ言うか?」
「エコリアチは割と評判良かっただろ。アメリカの熟女から」
「熟女からの評判いらねぇんだよ!!もーやだ。そもそもの脚本がクソ過ぎんだよ。俺に書かせろ」
「お、乗り気だねえ」
「今度は愛で推す。いつの時代だって、愛ある話は皆好きなはずだ」
「愛ィ?売れんのか?」
「知るか。タイトルだけ決めた。今決めた。異論は認めない」
「はあ?どんなタイトルだ?」
「いいか、発表するぞ?心して聞けよ?タイトルはな、」
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