ある男の回想

焼け落ちた我が家を見て、あの娘は何を思ったのだろうと、ふと、思う時がある。

何も知らされず、突然増えた仮初の同居人二人。物珍しい軍人を遠目に見つめながら、歪んだ母子愛を築いた兄によく似た妹を、俺は時々思い出す。

たった数週間にも満たない日々を共に過ごしたあの娘に俺はきっと俺を重ねている。

待つという事の痛みを、虚しさを。

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