相反する想い

朝なんて来なければ良いのに、と思った。このまま音様の腕の中にずっといたかった。音様の事だけ考えて、音様のために生きていきたかった。

でもそれは、音様のためにはならない。

何もかもを与えられる私に比べて、音様が失うものは余りにも大きい。音様の輝かしい未来に私が邪魔になる日がきっと来る。

それに音様は本当の意味では知らないのだ。私が何をして生きてきたのか、何をされて生きてきたのか。愛を得るためなら嘘だって吐いたこの口から吐いた言葉を、いつか音様が疑う日が来るかと思ったら。

幸せの絶頂なんて、後は落ちるだけ。ならばいっそ。

いつか、「素敵な夢を見た」と、思い出にできる時が来るのだろうか。

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