小説

いつかあなたと餞を

役立たずの言葉

東京で、漸く腰を落ち着けた頃には祝言を挙げてからひと月以上が経っていた。くだらね...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

本当の事を何一つ言えないまま

宵闇を行列がやってくる。俺の元にを連れて来るのだ。俺たちの感情を置き去りにして、...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

背負った十字架

引き揚げの船に、藤次郎は乗る事が出来なかった。俺が作戦から帰ってきた時には、藤次...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

これが最期だと

握った手は乾燥して、嫌な熱さをしていた。こちらを見る藤次郎の目は焦点が合っていな...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

指先から零れ落ちる

軍の学校に行くと言い出した藤次郎を、俺も両親も、ですらも止める事は出来なかった。...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

引き金

季節は巡り、冬が春になり、夏になり、秋を越してまた冬になった。何度も何度も同じ事...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

その幸せを願うなら

秋の風が少しずつ冷たくなってくる。少しずつ、冬の世界がやってくる。冬は嫌いだった...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

とても幸せだった

「トージロー、あーそーぼー」朝の仕事が一段落して、部屋に篭って何をするでも無くぼ...…【続きを読む】
いつかあなたと餞を

贖罪

は藤次郎の大切な奴だから絶対に幸せにすると決めたんだ。それが藤次郎を殺した俺の贖...…【続きを読む】
それは暗い暗い夜のこと

独りにはしない

は暫く俺の家で療養した。俺の父も母も何処かの段階で俺の彼女に対する想いを知ってい...…【続きを読む】